理学療法士時代の苦悩
人様の大事な身体を預かっているのに良くならない
「・・・これ、続けて本当に良くなるんですかね・・・?」
2010年、都内の病院にて変形性膝関節症(膝の痛み)の患者さんのリハビリをしていた時に、理学療法士として働いていた私が受けた質問です。
この質問に、私は答えることができませんでした。
良くならないかもしれない。このリハビリで本当に合っているのだろうか。
先輩たちが診る患者さんは目に見えて状態が良くなる中、私はなかなか患者さんを元気にすることができませんでした。
理学療法士の中には「あの人が診てくれたらよくなる」と噂されるほど技術が優れている人もいて、患者さんの状態は良くなっていくのが目に見えて分かりました。
それに引き換え、私は・・・
分からないなりにも、勉強会に行きまくったり、先輩にアドバイスをもらいひたすら実践したり。・・・どれもなかなかうまくいきませんでした。
せっかく働いて得たお金も勉強代で無くなって行くばかり。自分の腕にも、キャリアにも、将来にも自信がなくなりました。
そんな中、職場の先輩が一つの道を見せてくれたのです。
「どう治すか」よりも「どう評価するか」
「やっぱり、まずは評価じゃない?」
ー評価。
理学療法の学校で教わった基本です。
「まず患者さんの状態評価をしないと。基準が何で、それに対して今の状態がどうなっているか。それが分からないと、改善へのアプローチなんてできないでしょ。」
そう言われて「まさしくその通り!」と痛感。
患者さんを「よくする」ことに囚われて、治療方法、治療アプローチばかり勉強していました。。
本来はその患者さんにどんな治療が必要かを見極める「評価」が大切だと改めて感じました。
とても当たり前のことです。
そして職場の先輩から
「今、ピラティスの資格取得を目指してるんだ。マンツーマンのピラティスの練習につきあってよ」と言われピラティススタジオに行ってみました。
言われるままに受けてみた、先輩からのマンツーマンピラティス。
たった1回のマンツーマンピラティスを受けただけで、身体が軽くなることを実感しました。
理学療法士として、臨床でも使えるかもしれない!
そう思ってとてもワクワクしたのを覚えています。
これが「評価の大切さ」、そして「ピラティス」というものをはっきりと意識した瞬間でした。
私も最初は自分のアプローチに自信がなく、いろんな勉強会に行っては遠回りしてきました。
- 臨床において姿勢をきちんとみる評価の大切さ
- ピラティスの基礎と臨床での活用法
- プログラミングのコツ
- 理学療法の知識のおさらいとピラティスの応用
これらを掛け合わせたことで、一人一人の状態にあったピラティスプログラムを提供できるようになりました。
臨床現場が充実するも、目指すべきは予防医療では…?
進むべき方向性を見つけ、私はピラティスの世界に向けて邁進しました。
もちろん理学療法士としての勉強も続けました。
学会誌を読んだり
先輩からアドバイスをいただいたり
いろんなスタジオへピラティスのレッスンを受けに行きました。
自分の中で知識が体系化され始めた(仮説→検証のプロセスを身に付けた)ので、
勉強会やピラティスワークショップでの話がより一層理解できるようになりました。
臨床現場においての評価もだんだんと分かってきました。
後輩に指導できるようにもなりました。が、、、、
これを突き詰めて行くうちに、私は「病院に来るまで痛みや不調を我慢している現状をなんとかしたい!」と思うようになりました。
ここから、予防医療に関わりたい気持ちが非常に強くなり、本格的にピラティスを学ぶことに。
いろんな団体を調べてみたところ、理学療法士を対象としたピラティスコースがあると知りました。しかし、日本でその当時開催されていたピラティスコースは英語を日本語に翻訳したものなので、少し表現のニュアンスが異なっていました。
考えてみれば当たり前ですが、ドイツ人のピラティスさんがニューヨークで作り上げたピラティスメソッドを本格的に学ぶとしたら英語での学習が必要です。
海外でピラティスを学ぶ!必死な毎日
そこで視点を日本から世界に移し、英語でのピラティス取得を目指し、ピラティスが国家資格になっているオーストラリアで本格的に学ぶため、1年間メルボルンへ。
オーストラリアではネイティブの話す英語に馴染めず、とても苦労しました。
ピラティスの講義では、授業前に教科書を受け取り単語の予習、講義を録音させてもらい、家に帰ってからは何度も聞きなおし復習しました。
わからないところは、英語を教えるプロの力も借りました。当時は必死で、つらいと思う暇もなく、ひたすら英語とピラティス。
メルボルンのピラティスクリニックで働く理学療法士のもとで見学や勉強をさせてもらい、改めて評価の大切さを実感しました。
オーストラリアのサッカーチームに理学療法士として属しながら現場での実戦も繰り返しました。
オーストラリアでは理学療法士が独立・開業するルートがあるため、起業についての考え方や感覚も吸収できました。
当時は本当に必死だったけれど。。笑
そして、日本に帰り、フリーランスのピラティスインストラクターとして起業。
私の、ピラティスインストラクターとしての人生が始まったのです。
患者さんの姿勢が見える!分かる!実感できる指導方法の体系化に成功!
理学療法士としてそのことを突き詰めて考え続け、
評価の仕方についてみっちり指導を受け、
医療従事者しか受けられないピラティスを世界中から探し出し、
本格的に1年間オーストラリアで講義を受け、
英語でピラティスの資格を取り、
現在ピラティスインストラクターとして活動している立場として、お伝えできることをお伝えしていきたいと考えています。